あのベルナール・ロワゾーの元、ラ・コート・ドールで修行をした下村浩司氏が5年間シェフを務めた
レストランFEUを2006年9月に退店され、とうとう独立開業されました。それが、2007年7月30日に開店したEdition Koji Shimomura(エディション・コウジ・シモムラ)です。ご自身の名前を店名にしたレストランです。
場所は六本木一丁目の駅から直結したティーキューブビルの中にあります。雨が降っていても駅から濡れずに行くことができますし、車寄せもあるので安心です。まだ新しいビルで、窓も多くとても開放的。下村シェフのお店はその1階にありますが、路面に出ているところではありません。入ってすぐにレセプションがあり、突き当たりは個室にもなる大きなテーブルが有るお部屋。モノトーンで上がっていてとてもスタイリッシュです。店内一番奥には細長い部屋ごとセラーがあり、かなり狭いのですが色々と天井近くまでワインが詰っていました。
まずはシャンパーニュで乾杯。こちらでは私が大好きなRilly La Montagne の RMメゾンである、Vilmart & Cie(ヴィルマール)のグラン・レゼルヴNMです。(1杯¥1500位)。爽やかでガツンと土地の個性が出たシャンパーニュ。
ランチコースは全部で3種あり、¥4,200(メイン1品)、¥6,300(メイン2品)、¥9,450(フルコース)。ディナーは¥9,450、¥12,500、¥15,700です。本当は¥9,450を頂こうと思っていたのですが、前日の夕食は某店で暴走してしまったので、今回は2名で¥4,200のランチコースを大人しく頂きました。
まずはパンから。まだ試作中の様子ですけども味は良いです。周りのクラストにはしっかり火が入っていますが、焦げ臭くなく、クラムはきめ細かく素直な味。でもバターをつけるとミルキィさが立っていいですね。一見個性的なのですが、お料理にはあわせやすい素直系なのです。
バターは以前と同じくクルクルしていて、塩がかかっていました。こちらも発酵バターなどではありません。ニュートラルな味わい。パンの味と良く合います。
●アミューズ・ブーシュ:フォワグラのテリーヌ。下にはパリパリした甘くない鉱泉煎餅のような薄い生地が敷かれています。フォワグラはできるだけ形を残しつつ、固まっていました。上には粗く砕いた黒胡椒と雫のようなものが。白トリュフの風味。
ちょっと気になったのは、舌触りが一瞬ザラっとしていたことです。でも黒胡椒のワイルドな食感とピリっとした風味。雫はちょっと甘く、プルンとしたいました。フォワグラの脂が甘く、冷たい口溶け。塩味は軽めでした。なんとも言えない白トリュフの風味が鼻腔を霞めます。やはり夏は白トリュフ位の方が軽くて丁度よいと思いました。
●グラスの赤ワイン:Bougogne rouge Haut-Cote de Nuits 04(?) par Aurelien Verdet ブルゴーニュ・ルージュ オート・コート・ド・ニュイ オーレリアン・ヴェルデ製造のもの。ビオ・ディナミの若手生産者。初めて飲んだのですが、ここのワインは日本でよく見かけますね。縁がまだ赤紫色で若々しい印象。スッキリと綺麗な仕上がりです。ビオの気難しさがなくて、素直にいいなと思える味でした。オート・コート・ド・ニュイだから早飲みでもいいかなって感じですがもうちょっと年数が経過してからの方が実力を発揮できそうな印象です。(一杯¥1000超位)
●グラスの白ワイン:生産者、ヴィンテージ失念。ブルゴーニュのマコネ地区のSaint-Veran(サン・ヴェラン)でした。まったりとしいて樽も効いた王道な白。アルコール度数も高めです。
●前菜:フォワグラと無花果のテリーヌ、林檎と葡萄、杏添え、サーヴするときに手袋をした方が30年もののバルサミコをかけて頂きます。
アミューズもフォワグラでしたが、こちらとは全く違う味わいです。ショリっとした林檎の歯ざわりやねっとりとした杏がなんとも言えない味わい。これをフォワグラと一緒に頂くと違うコンビネゾンで新しい発見がありました。無花果とフォワグラ、それにバルサミコのコンビネゾンは強めのトーンになっていて、非常の濃厚です。でもフルーツや酢のお陰で後口は意外にさっぱりとしています。
●メイン魚:舌平目のムニエル、ソースはトマト主体でムタール・アンシエンヌやケッパーなどが入った酸味の効いたもの。添えられている野菜は色々なクルジェット(=ズッキーニ)。
色々クルジェットは薄切りの黄色い大きなもの、極小の緑、真っ白なものがありました。どれも食感と水分量が微妙に違います。意外に美味しかったのは極小クルジェットでした。味わいが凝縮しているようです。
舌平目のムニエルは現代的で衣も薄くこんがりとしていました。舌平目が結構大きかったんだろうなと容易に想像できるほど厚い身。上にかかっている細かく刻んだトマトやケッパー、ムタール・アンシエンヌの深い酸味が爽やかでした。
●メイン肉:鴨のロースト、ソースは焼いたときに出たジュで軽く仕上げてあります。添えられているのは小茄子と万願寺唐辛子、コーン、松の実。
万願寺唐辛子がいい味出していますね。見事に鴨とマッチしています。ちょっとだけ辛いのもいいですね。コーンはちょっと焼いてあり、香ばしいし甘いし。季節感がありました。
鴨のローストは下村シェフのこだわりの焼き方をされています。脂側に格子に包丁を入れて、余分な脂を十分に出して焼き上げる方法。格子になった脂がまたカリっとしてて美味しいんです。身の部分も血の気たっぷりで滋味深い味わい。しっかり噛み締めて頂きました。
●デセール:白桃のコンポート、ミックススパイス風味。別添えになっているのは、アマレット風味のアイスクリームと冷凍したグロゼイユ&グロゼイユのグラニテ。
今季初白桃はコンポートでしたが、生で食べても十分美味しい白桃をコンポートに?!とちょっともったえない気がしてしまいますが、必然性がある手の加え方だと思いました。
コンポートにはその煮汁とジュレ、そして白桃。香りはミックススパイス(多分シナモンやナツメグ系が主体で数十種類)がほんのりと効いています。白桃はギリギリの硬さで、口の中に入れて、口蓋と舌で挟むとジュワっと消えていきました。白桃よりも白桃らしいと思えるような、儚い口溶け。でも鼻腔に甘い香りが残っていて、さっきまで白桃が口の中にあったんだなと実感します。そして甘ったるいだけの香りにミックス・スパイスがキリリと〆ているのも個性的です。
別添えになったアマレット風味のグラス&グロゼイユのグラニテも一緒に頂くとまた違った味わいがありました。サラっとした舌触りのグラスはしっかりとした味わいで香ばしくて甘い香りのアマレットが効いています。そこへ、酸味が効いたグロゼイユのグラニテを合わせるとプチガトーの雰囲気。この組み合わせでケーキ作ったら美味しいだろうなと思ってしまいました。
夏にはぴったりのデセールですね。
●デセール:下村シェフのスペシャリテでもあるショコラのムース。上には粗塩と黒オリーブ、そしてラスクが刺さっています。サーヴした後にフルーティな香りのオリーブオイルをかけてくれます。
このショコラのムース(というか、クレーム)の特徴はクレームアングレーズだけを使ってショコラを伸ばしていることです。なのでかなり濃厚でねっとりとした舌触り。材料には一切フルーツを使っていないのですが、それはフルーティな香りのオリーブオイルで補っていて、フルーツが無いのにフルーティな風味なのです。ラスク&塩&ショコラのコンビネゾンはなんともリッチな味。
●カフェ:濃い目のフレンチローストのエスプレッソ。重めです。砂糖は白で面白いメタル製の板の上にのってきました。面白くて思わずパチリ。下に切り込みが入っていて、排水溝のふたのような隙間が空いていました。
●生ハーブティ:レモングラスなどが入った生ハーブたっぷりのハーブティ。夏仕様で、かなりさっぱり&ちょっと酸味がありますが優しい味わい。
ポットで来るので見る楽しみもあります。なんとも涼やかな深い緑色。夏っぽいですね。ポットがガラス製なので中身が見えるのも楽しいです。お代わりもできます。
●ミニャルディーズ:食後の小菓子。真中はリコチコーヒーのクリーム&ショコラのクリームのグラス・プレゼンテーション。周りあるのは、カフェの豆を砕いたものが入ったほろ苦いメレンゲ。棒に刺さったガナッシュ・ショコラはカルヴァドス風味です。
メレンゲはジュワっとした口溶けで極小。齧るとブツブツっとした砕いた苦い珈琲豆が口の中で弾けます。小さいのにパンチが効いています。
チュッパチャップスの棒みたいなのに刺さったカルヴァドス風味がついたガナッシュ・ショコラは小さいのにこちらもパンチ力あり。食後のディジェスティフ代わりになりそうなくらいです。林檎とショコラの良い香りが広がります。この形も食べやすくて口溶けが良いようです。
チコリコーヒーのムースはちょっと麦茶っぽい香ばし苦い風味があり、後口サッパリ。独特の香りです。これも久々でした。
一見大丈夫かな?と思える組み合わせがたまにあったりするのですが、それはしっかりと味に裏打ちされた計算があるお料理なのです。必然性がある組み合わせ。
下村シェフのスペシェリテがまた食べられるので安心したと同時にこれからどんな展開があるのかなと期待しております。まだスタッフも足りないみたいで落ち着かないようですが、じょじょに新作も発表していくそうです。
また落ち着いたらゆっくりと食べに行きたいと思います。(2007/8/15★4)
昼 10,000円~15,000円
夜 15,000円~25,000円
場所は六本木一丁目の駅から直結したティーキューブビルの中にあります。雨が降っていても駅から濡れずに行くことができますし、車寄せもあるので安心です。まだ新しいビルで、窓も多くとても開放的。下村シェフのお店はその1階にありますが、路面に出ているところではありません。入ってすぐにレセプションがあり、突き当たりは個室にもなる大きなテーブルが有るお部屋。モノトーンで上がっていてとてもスタイリッシュです。店内一番奥には細長い部屋ごとセラーがあり、かなり狭いのですが色々と天井近くまでワインが詰っていました。
まずはシャンパーニュで乾杯。こちらでは私が大好きなRilly La Montagne の RMメゾンである、Vilmart & Cie(ヴィルマール)のグラン・レゼルヴNMです。(1杯¥1500位)。爽やかでガツンと土地の個性が出たシャンパーニュ。
ランチコースは全部で3種あり、¥4,200(メイン1品)、¥6,300(メイン2品)、¥9,450(フルコース)。ディナーは¥9,450、¥12,500、¥15,700です。本当は¥9,450を頂こうと思っていたのですが、前日の夕食は某店で暴走してしまったので、今回は2名で¥4,200のランチコースを大人しく頂きました。
まずはパンから。まだ試作中の様子ですけども味は良いです。周りのクラストにはしっかり火が入っていますが、焦げ臭くなく、クラムはきめ細かく素直な味。でもバターをつけるとミルキィさが立っていいですね。一見個性的なのですが、お料理にはあわせやすい素直系なのです。
バターは以前と同じくクルクルしていて、塩がかかっていました。こちらも発酵バターなどではありません。ニュートラルな味わい。パンの味と良く合います。
●アミューズ・ブーシュ:フォワグラのテリーヌ。下にはパリパリした甘くない鉱泉煎餅のような薄い生地が敷かれています。フォワグラはできるだけ形を残しつつ、固まっていました。上には粗く砕いた黒胡椒と雫のようなものが。白トリュフの風味。
ちょっと気になったのは、舌触りが一瞬ザラっとしていたことです。でも黒胡椒のワイルドな食感とピリっとした風味。雫はちょっと甘く、プルンとしたいました。フォワグラの脂が甘く、冷たい口溶け。塩味は軽めでした。なんとも言えない白トリュフの風味が鼻腔を霞めます。やはり夏は白トリュフ位の方が軽くて丁度よいと思いました。
●グラスの赤ワイン:Bougogne rouge Haut-Cote de Nuits 04(?) par Aurelien Verdet ブルゴーニュ・ルージュ オート・コート・ド・ニュイ オーレリアン・ヴェルデ製造のもの。ビオ・ディナミの若手生産者。初めて飲んだのですが、ここのワインは日本でよく見かけますね。縁がまだ赤紫色で若々しい印象。スッキリと綺麗な仕上がりです。ビオの気難しさがなくて、素直にいいなと思える味でした。オート・コート・ド・ニュイだから早飲みでもいいかなって感じですがもうちょっと年数が経過してからの方が実力を発揮できそうな印象です。(一杯¥1000超位)
●グラスの白ワイン:生産者、ヴィンテージ失念。ブルゴーニュのマコネ地区のSaint-Veran(サン・ヴェラン)でした。まったりとしいて樽も効いた王道な白。アルコール度数も高めです。
●前菜:フォワグラと無花果のテリーヌ、林檎と葡萄、杏添え、サーヴするときに手袋をした方が30年もののバルサミコをかけて頂きます。
アミューズもフォワグラでしたが、こちらとは全く違う味わいです。ショリっとした林檎の歯ざわりやねっとりとした杏がなんとも言えない味わい。これをフォワグラと一緒に頂くと違うコンビネゾンで新しい発見がありました。無花果とフォワグラ、それにバルサミコのコンビネゾンは強めのトーンになっていて、非常の濃厚です。でもフルーツや酢のお陰で後口は意外にさっぱりとしています。
●メイン魚:舌平目のムニエル、ソースはトマト主体でムタール・アンシエンヌやケッパーなどが入った酸味の効いたもの。添えられている野菜は色々なクルジェット(=ズッキーニ)。
色々クルジェットは薄切りの黄色い大きなもの、極小の緑、真っ白なものがありました。どれも食感と水分量が微妙に違います。意外に美味しかったのは極小クルジェットでした。味わいが凝縮しているようです。
舌平目のムニエルは現代的で衣も薄くこんがりとしていました。舌平目が結構大きかったんだろうなと容易に想像できるほど厚い身。上にかかっている細かく刻んだトマトやケッパー、ムタール・アンシエンヌの深い酸味が爽やかでした。
●メイン肉:鴨のロースト、ソースは焼いたときに出たジュで軽く仕上げてあります。添えられているのは小茄子と万願寺唐辛子、コーン、松の実。
万願寺唐辛子がいい味出していますね。見事に鴨とマッチしています。ちょっとだけ辛いのもいいですね。コーンはちょっと焼いてあり、香ばしいし甘いし。季節感がありました。
鴨のローストは下村シェフのこだわりの焼き方をされています。脂側に格子に包丁を入れて、余分な脂を十分に出して焼き上げる方法。格子になった脂がまたカリっとしてて美味しいんです。身の部分も血の気たっぷりで滋味深い味わい。しっかり噛み締めて頂きました。
●デセール:白桃のコンポート、ミックススパイス風味。別添えになっているのは、アマレット風味のアイスクリームと冷凍したグロゼイユ&グロゼイユのグラニテ。
今季初白桃はコンポートでしたが、生で食べても十分美味しい白桃をコンポートに?!とちょっともったえない気がしてしまいますが、必然性がある手の加え方だと思いました。
コンポートにはその煮汁とジュレ、そして白桃。香りはミックススパイス(多分シナモンやナツメグ系が主体で数十種類)がほんのりと効いています。白桃はギリギリの硬さで、口の中に入れて、口蓋と舌で挟むとジュワっと消えていきました。白桃よりも白桃らしいと思えるような、儚い口溶け。でも鼻腔に甘い香りが残っていて、さっきまで白桃が口の中にあったんだなと実感します。そして甘ったるいだけの香りにミックス・スパイスがキリリと〆ているのも個性的です。
別添えになったアマレット風味のグラス&グロゼイユのグラニテも一緒に頂くとまた違った味わいがありました。サラっとした舌触りのグラスはしっかりとした味わいで香ばしくて甘い香りのアマレットが効いています。そこへ、酸味が効いたグロゼイユのグラニテを合わせるとプチガトーの雰囲気。この組み合わせでケーキ作ったら美味しいだろうなと思ってしまいました。
夏にはぴったりのデセールですね。
●デセール:下村シェフのスペシャリテでもあるショコラのムース。上には粗塩と黒オリーブ、そしてラスクが刺さっています。サーヴした後にフルーティな香りのオリーブオイルをかけてくれます。
このショコラのムース(というか、クレーム)の特徴はクレームアングレーズだけを使ってショコラを伸ばしていることです。なのでかなり濃厚でねっとりとした舌触り。材料には一切フルーツを使っていないのですが、それはフルーティな香りのオリーブオイルで補っていて、フルーツが無いのにフルーティな風味なのです。ラスク&塩&ショコラのコンビネゾンはなんともリッチな味。
●カフェ:濃い目のフレンチローストのエスプレッソ。重めです。砂糖は白で面白いメタル製の板の上にのってきました。面白くて思わずパチリ。下に切り込みが入っていて、排水溝のふたのような隙間が空いていました。
●生ハーブティ:レモングラスなどが入った生ハーブたっぷりのハーブティ。夏仕様で、かなりさっぱり&ちょっと酸味がありますが優しい味わい。
ポットで来るので見る楽しみもあります。なんとも涼やかな深い緑色。夏っぽいですね。ポットがガラス製なので中身が見えるのも楽しいです。お代わりもできます。
●ミニャルディーズ:食後の小菓子。真中はリコチコーヒーのクリーム&ショコラのクリームのグラス・プレゼンテーション。周りあるのは、カフェの豆を砕いたものが入ったほろ苦いメレンゲ。棒に刺さったガナッシュ・ショコラはカルヴァドス風味です。
メレンゲはジュワっとした口溶けで極小。齧るとブツブツっとした砕いた苦い珈琲豆が口の中で弾けます。小さいのにパンチが効いています。
チュッパチャップスの棒みたいなのに刺さったカルヴァドス風味がついたガナッシュ・ショコラは小さいのにこちらもパンチ力あり。食後のディジェスティフ代わりになりそうなくらいです。林檎とショコラの良い香りが広がります。この形も食べやすくて口溶けが良いようです。
チコリコーヒーのムースはちょっと麦茶っぽい香ばし苦い風味があり、後口サッパリ。独特の香りです。これも久々でした。
一見大丈夫かな?と思える組み合わせがたまにあったりするのですが、それはしっかりと味に裏打ちされた計算があるお料理なのです。必然性がある組み合わせ。
下村シェフのスペシェリテがまた食べられるので安心したと同時にこれからどんな展開があるのかなと期待しております。まだスタッフも足りないみたいで落ち着かないようですが、じょじょに新作も発表していくそうです。
また落ち着いたらゆっくりと食べに行きたいと思います。(2007/8/15★4)